オックスフォード通信(318/47)カレッジランチ

オックスフォードの博士課程で研究をしておられるNさんにLinacre Collegeのランチにご招待し頂きました

 オックスフォードは珍しく台風までは行きませんが風が強く雨も横殴りという感じでしたが、お昼に教育学部前で待ち合わせて、カレッジパークを横切り、リネカーカレッジまで10分程度です。

到着したときにはカレッジの学生がシャッターが開くのをキューを作って待っていました。Nさんがおっしゃる通り、リネカーカレッジの料理はとても美味しくお昼にこのような栄養たっぷりの食事が取れるのはカレッジの特権だと思います。私は学部の所属のみでこのような機会でないとカレッジの中に入ることがありませんのでとても貴重な経験です(春には同じカレッジのディナーにH先生にご招待頂いています)。

 私はビーフの煮付けにまるごとのポテト、アップルケーキを頂いたのですが、レストランと同じレベルのとてもいい味付けです(Nさんはツナステーキ)。その後はラウンジでコーヒーを頂きました。

 大学生活の基盤となるカレッジ。やはりオックスフォードは学ぶ環境をうまく調整している大学だと再認識しました。

 (2019.2.8)


★今回の教訓:支払いは学生証で(Nさんご馳走さまでした)。システムが上手く出来上がっている。同志社女子大学のカフェテリアに比べてメニューは少ないけれど不満はない。日本の大学もメニューをもっと絞ってその分、質の向上に力を注ぐ方がいいかもしれない。

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オックスフォード通信(317/48)インフルエンザは流行しない in UK

オックスフォードには学生が一杯ですがインフルエンザにかかっている人を目にしません

もちろん、インフルエンザにかかっている人は出てこないので目にしないのでしょうが、日本のように爆発的に流行しているというニュースも聞きませんし、回りでも感染したという話をほとんど聞きません。

これはひとえに、イギリスの雨の恵みだと思います。日本の冬は乾燥しているのがあたり前ですが、イギリスでは毎日は言い過ぎですが、2日に1回はどこかで雨が降っています。といっても日本のような振り方とは異なり、短い時間さっと降るという感じで傘をさす程でもありません。運が悪いと自転車を乗り始めたときには降っていなくても途中で降られるということがあります。

昨年夏の小雨で枯れてしまっていた芝生もいつの間にかどの場所でも復活しています。これは誰かがが水をまいたのではなくて天の恵みなのですね。冬なのにどこも芝生は色を塗ったように青々としています。

当然、湿り気も多いので、インフルエンザの菌が空気感染する率も減ってくるのだと思います。12月末から珍しく風邪を引いてしまったのですが、このような風邪引きはあるにしても、インフルエンザが大流行するということはないようです。

図書館で咳をしている人もいますが日本のようにマスクをしている人はいません。大学院2回生の千代間さんがマスクについての国際比較を研究していますが、なるほどと思います。

地震もなく台風や土砂崩れのような大きな災害もないイギリス。おまけにインフルエンザも花粉症もないのですから、外的条件としてはとてもいい環境といえるのでしょう。

(2019.2.7)

★今回の教訓:インフルエンザが流行しないだけで大学の活動も随分円滑になる。病気が流行らないのはいいことだ。

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オックスフォード通信(316/49)オックスフォードでの研究

オックスフォードでの研究は主として図書館で行っています

ボードリアン図書館にはいろいろな場所があります。もちろん教育学部の図書館もいいです。検索しても結局、必要な本は教育学部にあることが多いです。Noham Roadに面したReading Roomは集中して静かにものを考えるのにはいいところです。

自然史博物館の横にあるボードリアン図書館の分館もいい感じです。理系の本が並んでいますが、机が大きくて雄大にものを考えることができます。

ただ何といっても一番、落ち着くのはボードリアン図書館のラドクリフカメラです。オックスフォードのランドマークにもなっていて、観光客が回りを取り囲んでいますが、中は話し声ひとつ聞こえない真剣なムードが漂っていて何かいいアイディアが浮かんできそうな気に、いつもなります。

上階の1F, 2Fもいいのですが、地上階の薄暗い雰囲気がとても気に入っています。少し暗い方が集中できます。ほぼいつも満員ですが、少し探すとどこかに空いている席があります。ただ、最大の難点はWifiが弱いことです。オックスフォード全体でWifiの電波は弱いのですが、このラドクリフカメラは石造りのせいか、電波が届きにくいのか内部でうまく伝わらないのか分かりませんが良く途切れます。

明日もラドクリフカメラの予定です。

(2019.2.6)

 

★今回の教訓:集中できる場所をいくつか持っておくことは重要。

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オックスフォード通信(315/50)

オックスフォード通信(315/50)Wakazemi 18th in Oxford

18期のメンバー3名がオックスフォードまで遊びに来てくれました

ロンドン、パリ、ローマを巡る卒業旅行中の3名ですが、わざわざオックスフォードまで足をのばしてくれました。これまで、インターネットを通してi-Seminarで話をしてきましたが、実際に対面でお話しするのはほぼ1年ぶりです。

インターネットでも十分コミュニケーションできると思ってきましたが、対面式のコミュニケーションには「感動」が増加します。インターラクションがスムーズ、聞いたことに即座に反応ができます。それ以上に一緒に笑うことが多くありました。握手も。あらためて実際に会って話をすることがいかに重要か実感することができます。

本人達の日頃の行いが良いのか、天気予報の雨も降らず、それほど寒くもない曇り空の中、University CollegeのSt. Mary’s Churchからスタート。ラドクリフカメラ、ボードリアン図書館、Divinity School、Bridge of Sigh、シェルドニアンシアター、カバードマーケット、Cowley とOxfordの境界線の橋、Magdalen College, Christ Church College, Merton College, Old bank hotel, Oxford University Press, University of Oxford official shop, Corn Market Street, Starbucks coffee, Blackwellなどを一緒に回り、最後はWig and Penことができました。

オックスフォードの見学をしながら若ゼミの事・メンバーの話に花を咲かせるという感じで、あっという間に日没の午後5時に。またたく間に時間が過ぎ去っていきます。あのエネルギーをつぎ込んだ卒論があるからだとも思いますが、今から振り返ると、その卒論も含めて、全てが楽しかった思い出に変換されていくのが面白いところです。

一緒に2年間、若ゼミでいろいろな活動をしてきて良かった、と改めて思いました。来てくれたのは3名ですが、その後に14名のメンバーの顔を見るようでした。一緒に苦労をともにしたメンバーはいいな、と思います。天正遣欧少年使節団ならぬ、若ゼミ遣英使節という感がしました。話はいつしかそれぞれの卒業後や来年度のゼミのことにも及びました。来年度は19名の19期生とゼミを展開するのですが、課題は18期生の成果と私のオックスフォード大での研究をいかに19期生に引き継ぐのかという点にあると思います。「私がいない状態」をいかに作り出してゆくか、いろいろと話が盛り上がりました。

3名と大笑いしなが、内なるパワーがまた湧いてくるようでした。

Thank you!

(2019.2.5)

 

★今回の教訓:立場は異なれ一緒に何かに取り組むことは大切だと、あらためて思う。

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オックスフォード通信(314/51)National Gallery

ロンドンのナショナル・ギャラリーに行ってきました

イギリスが寛大だと思うのは、大英博物館にしてもこのナショナル・ギャラリーにしても入館料が無料ということです。最も最近ニュースで報じられたように、大英博物館のモアイ像を返却して欲しいとモアイの州知事が涙ながらに訴えたように、ロゼッタストーンにしてもこのモアイ像にしても大英博物館の多くの展示物が往年の大英帝国が各国で略奪してきた事実は覆い隠すことができないので(この博物館で展示してあるお陰で保存状態がよく現存しているという擁護論もある)、無料というのはある意味当然かもしれません。

さて、ナショナル・ギャラリーのお目当ては多くの人と同様にゴッホの「ひまわり」です。ナショナルと名前がついている用にほぼ全体はイギリスの画家の作品が展示してあります。例えば、ターナーの作品は独特の優しさと風景との一体感があって好きです。ということもあり、ピカソルノワールドガなどのイギリス人ではない画家の作品が一部屋にまとめて展示してあります。これはナショナル・ギャラリーの大きな特徴です。

他のイギリス人画家の展示は天井も高く仰々しい素晴らしい展示室にあります(作品よりもその部屋の建物の様子の方がインパクトがある感じがする)。しかし、ゴッホなどの作品をみるのにはこれほど適した美術館はないかもしれません。何しろ一部屋で、見たい絵が全部見れるのですから。

この部屋でも一際人だかりが出来ていたのが、もちろんひまわりです。人が途切れません。私は真ん中に置いてあるチェアに腰を下ろし30分くらいボウッとこの絵を見ていたのですが、この絵には不思議な魅力があることに気づきました(2020年に世界初のナショナル・ギャラリー展として東京と大阪で展示会が開催されるとのことですが、このように長時間座ってみることはここでしかできない贅沢かもしれません)。

まず、黄色の向日葵に同系色の金色のバック、テーブルも黄色系を少し濃くした茶色です。特に、向日葵に金のバックはないだろうと思いますが、そうすることによって向日葵の明るさと限界がうまく示されているように思いました。ひまわりをよく見ると10個以上の房があり、真っ盛りのものも、もうすぐ咲く蕾のものも、もう峠を越えて頭が下がっているものもあります。でもひまわりとしては不滅の明るさを証明しているようでもあります。ここにひまわりの真実があり、ゴッホはその真実を上手く絵で表現しているのでしょう。

その横にはゴッホが亡くなる年に書かれた地面の草と花、そして蝶々が描かれた絵が掛けられています。この絵はそれほど有名なものではないのでしょうが惹きつけられるものがありました。何もない草の生えたただの地面ですが、ゴッホはそこに何かを表現したいものを見つけたのでしょう。それは恐らく、どこにも、生があるということなのではないでしょうか。地面を緑一杯にする草、花。それは地面とつながっているからこそ強い生命力がある。ゴッホは本能で描いたのでしょう。描かざるを得なかったのでしょう。その横のドガは踊り子の姿を多く描いています。彼らに多分「何故?」という質問は当てはまらないのでしょう。描きたいから描く。でもそこには描きたいと思わせる何がある。それを上手く表現できたとき、このような多くの人を集めるのでしょう。

描きたいから描く、そこに言葉にできる理由はないと思います。丁度、写真を撮る時に、これは!と思う直感と似ているように思います。帰国までにもう一度は来てみたいと思いました。

(2019.2.4)

 

★今回の教訓:ひまわりはやはり良かった。

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オックスフォード通信(313/52)Tea

 

イギリスに来てから外ではコーヒーではなくティーを注文する事が多くなっています

日曜日、仕事の合間に、CotswoldsのBurfordまで昼食を兼ねたアフタヌーンティーをしようとでかけました。2日前の雪がまだ残っていてA40(ハイウエイ)の片側車線や側道にはまだ雪が残っています。このような状況でも、相変わらず私以外の車は時速120キロ以上で飛ばしていきます。

Burfordはお気に入りのコツウォルズです。もう5回目くらいになるでしょうか。まず、近い。Door-to-doorで30分で到着です。次に街並みが何度見ても飽きないくらい綺麗。坂道に家々が並んでいるので、到着する際、坂の上から街並みを見下ろすことになります。恐らく100年前と変わらぬ風景だと思います。そして、Huffkinsの本店がある。ここのスコーンはイギリスに来てはじめて美味しいと思ったものです。

この日はHuffkinsのドアを開けると満席。でも窓側の席がすぐに空くとのことで、すぐに通してもらいました。通りを眺めながら、Huffkinsでは2番目に軽い(2段)アフタヌーンティーを注文。問題はティーの種類。前回はアッサム、前々回はアールグレイ。今回は、少し変わったところで、Girlie Greyをお願いしました。これはレモンなどいろいろなフレイバーがミックスしてあるのですが、味は少し甘さと酸っぱさが入り交じったものです。写真のようなポットに入れて出してくれますので(今回はお願いしませんでしたがお代わりのお湯も無料で頂けます)優に4杯は頂くことができます。最初はストレートで、2回目はミルクを入れて(ミルクを先に入れてからティーの順が正統らしい)、3回目はシロップを入れて(あまり甘くないので結果的に沢山いれることに)、4回目はもう一度ストレートに戻って、などいろいろと楽しむことができます。

頂きながら、毎回思うのですが、水のせいでしょうか、コーヒーよりも断然ティーの方がイギリスでは美味しいのです。もし、私がこれからイギリス文化を研究するとしたら「なぜイギリスではコーヒーよりもティーの文化が発展したのか」をテーマにしたいくらいです(もう解明されているのかも)。

ここでティーを頂くと頭もスッキリして、また仕事がはかどります。日も長くなってきました。午後5時くらいまでは明るいです。そろそろ春の声が聞こえてきそうです。

(2019.2.3)

 

★今回の教訓:日本では滅多に見ないが、アメリカのGoundhog dayの伝統行事をニュースでしていた。日本の節分など、この立春前後には世界中に興味深い伝統行事がある。

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オックスフォード通信(312/53)脱力系クラッシック・コンサート

夜、7.30から近くのチャーチで開催されたコンサートに出かけてきました

歩いても10分少々なのですが、あまりに寒いので “Return Ticket”(往復券)を買ってバスに乗って出かけてました。Linton Roadにある教会ですのでサマータウンからは目と鼻の先という距離です。オックスフォードのバスには、大きく3種類あって、”Single Ticket” (片道券)、“Return Ticket”(往復券)、それに“Day Ticket”(一日券)です。この順に料金があがっていくのですが、3回バスに乗るなら断然一日券がお得です。と言うのも、イギリス的合理的な発想なのか、この1日というのが24時間になっているので、例えば、2月2日の午後7時にチケットを購入すれば、翌2月3日の午後6時59まで有効ということになります。ちなみに、オックスフォードからヒースロー空港やロンドン・ビクトリアステーションに行く場合には、信じられないのですが、片道チケットと往復チケットの料金差が £2くらいしかないので、往復する気なら(まあ空港に本人が出かける際には片道チケットということが多いですが)リターンチケットを買うべきです。

さて、予約大国のイギリスなので、席がなかったらどうしようと思い、Webのアドバイスに従いテキストで予約を申し込んだのですがなしのつぶて。少し早い目に行こうと教会に着いたのが25分位前です。少し愕然としました。教会内には多くの席が用意してあったのですが前の方にパラパラと人がいる程度。ピアノの独奏があるので前2列は空けておいてね、と言われたのですが、どこにでも座れる状況。これは予約の返事も来ないはずと。

料金は £7と思って、自信をもって二人分で £15渡すと怪訝そうな顔をされます。そうか、お釣りは献金しろということなんだなと思って言いかかったところで、一人 £10なので足りないと。

さて、leader(イギリスではコンサートマスターのことをこう言います)が入場して、指揮者の女性が入ってくると演奏の開始です。最初はメンデルスゾーンです。耳を疑いました。全然、音程が合っていないのです。専門家でない私でもそれくらいハッキリ分かるハズレ方です。どおりでオーケストラが最初に行う音合わせをしないはずです。そのままメンデルスゾーンは終了。2曲目のベートーベンピアノコンチェルト4番はピアノの独奏の男性ピアニストが登場。これは流石、ピアニストが上手い。するとどうでしょう、オーケストラ(一応フル編成ですが、人数は通常の半分くらい)の音程も合ってくるのです。不思議なものです。

休憩時間にはワインのサービス( £2)もありこれは後半が期待できると思った途端、後半はまた最初と同様にガタガタです。ただ、不思議なのは演奏している人達に悲壮感は全くなく、喜々として楽しそうに演奏していることです。中には足を組んで演奏しているビオラ奏者の女性もいます。

この雰囲気どこかで見たことがある。どうです、夏の脱力系ドッグショーです。素晴らしいパフォーマンスをする事以上に参加することが重要なのです。それが分かってからはなるほどと思いながら最後まで演奏を楽しませて頂きました。聞いている方も怒る人は一人もなく、休憩時間にも奏者と談笑しています。もちろん、アマチュアの演奏者なのですが、一人1500円くらいの入場料も取っています。日本ならきっと怒ってくる人がいるだろうなと思って聞いていました。

論理は飛躍しますが、民主主義でもドッグショーでもオーケストラでもまず参加することが重要なのです。これは我、同志社女子大学の大学祭EVEにも当てはまります。「見に来た」人の中には他の大学の学園祭と比較して活気が少ないことに不平をいう人がいます。特に、在学生。でも、「実際に参加している人」はこれほど楽しい大学祭はありません。

おなじなんだな、と思いながら演奏を楽しませて頂きました。イギリスにはシリアスなものもありますが、このおうな脱力系のパフォーマスがよくあるように思います。そこには演じている人とみている人の距離が近いのもいいところです。

実際、この日ほど近くでピアニストがピアノコンチェルトを演奏するのを見たことがありません。いい経験をさせて頂きました。

(2019.2.2)

 

★今回の教訓:脱力するといいことが見えてくる。

 

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