オックスフォード通信(312/53)脱力系クラッシック・コンサート

夜、7.30から近くのチャーチで開催されたコンサートに出かけてきました

歩いても10分少々なのですが、あまりに寒いので “Return Ticket”(往復券)を買ってバスに乗って出かけてました。Linton Roadにある教会ですのでサマータウンからは目と鼻の先という距離です。オックスフォードのバスには、大きく3種類あって、”Single Ticket” (片道券)、“Return Ticket”(往復券)、それに“Day Ticket”(一日券)です。この順に料金があがっていくのですが、3回バスに乗るなら断然一日券がお得です。と言うのも、イギリス的合理的な発想なのか、この1日というのが24時間になっているので、例えば、2月2日の午後7時にチケットを購入すれば、翌2月3日の午後6時59まで有効ということになります。ちなみに、オックスフォードからヒースロー空港やロンドン・ビクトリアステーションに行く場合には、信じられないのですが、片道チケットと往復チケットの料金差が £2くらいしかないので、往復する気なら(まあ空港に本人が出かける際には片道チケットということが多いですが)リターンチケットを買うべきです。

さて、予約大国のイギリスなので、席がなかったらどうしようと思い、Webのアドバイスに従いテキストで予約を申し込んだのですがなしのつぶて。少し早い目に行こうと教会に着いたのが25分位前です。少し愕然としました。教会内には多くの席が用意してあったのですが前の方にパラパラと人がいる程度。ピアノの独奏があるので前2列は空けておいてね、と言われたのですが、どこにでも座れる状況。これは予約の返事も来ないはずと。

料金は £7と思って、自信をもって二人分で £15渡すと怪訝そうな顔をされます。そうか、お釣りは献金しろということなんだなと思って言いかかったところで、一人 £10なので足りないと。

さて、leader(イギリスではコンサートマスターのことをこう言います)が入場して、指揮者の女性が入ってくると演奏の開始です。最初はメンデルスゾーンです。耳を疑いました。全然、音程が合っていないのです。専門家でない私でもそれくらいハッキリ分かるハズレ方です。どおりでオーケストラが最初に行う音合わせをしないはずです。そのままメンデルスゾーンは終了。2曲目のベートーベンピアノコンチェルト4番はピアノの独奏の男性ピアニストが登場。これは流石、ピアニストが上手い。するとどうでしょう、オーケストラ(一応フル編成ですが、人数は通常の半分くらい)の音程も合ってくるのです。不思議なものです。

休憩時間にはワインのサービス( £2)もありこれは後半が期待できると思った途端、後半はまた最初と同様にガタガタです。ただ、不思議なのは演奏している人達に悲壮感は全くなく、喜々として楽しそうに演奏していることです。中には足を組んで演奏しているビオラ奏者の女性もいます。

この雰囲気どこかで見たことがある。どうです、夏の脱力系ドッグショーです。素晴らしいパフォーマンスをする事以上に参加することが重要なのです。それが分かってからはなるほどと思いながら最後まで演奏を楽しませて頂きました。聞いている方も怒る人は一人もなく、休憩時間にも奏者と談笑しています。もちろん、アマチュアの演奏者なのですが、一人1500円くらいの入場料も取っています。日本ならきっと怒ってくる人がいるだろうなと思って聞いていました。

論理は飛躍しますが、民主主義でもドッグショーでもオーケストラでもまず参加することが重要なのです。これは我、同志社女子大学の大学祭EVEにも当てはまります。「見に来た」人の中には他の大学の学園祭と比較して活気が少ないことに不平をいう人がいます。特に、在学生。でも、「実際に参加している人」はこれほど楽しい大学祭はありません。

おなじなんだな、と思いながら演奏を楽しませて頂きました。イギリスにはシリアスなものもありますが、このおうな脱力系のパフォーマスがよくあるように思います。そこには演じている人とみている人の距離が近いのもいいところです。

実際、この日ほど近くでピアニストがピアノコンチェルトを演奏するのを見たことがありません。いい経験をさせて頂きました。

(2019.2.2)

 

★今回の教訓:脱力するといいことが見えてくる。

 

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