オックスフォード通信(243)暗がりの運転

ジャパン対ロシアのラグビーテストマッチをグロースター(Glouster)まで見に行ってきました

Glousterは大聖堂で有名な場所で7月に一度訪問しています(通信105参照)。オックスフォードからA40をひたすらに西に車を走らせ50分くらいのところでA417に入ると20分くらいのところにあります。

うっかりすることはあるもので、駐車場が必ず混むのでと思い、いつもより周到に準備をし、車のアイドリングも万全で(2000年製のNISSANなのでアイドリングを怠るととんでもないエンジン音がします、アイドリングを5分、できれば10分すると機嫌良く走ってくれます。昔乗っていたNISSANパルサーやTOYOTAスプリンターを思い出しました)、快調に車を走らせて30分ほど経ったとき、肝心のチケットを入れたかどうかという話になりました。忘れていました。

油断とは恐ろしいものです。パスポートを忘れる人をよく馬鹿にしていましたが、自分が信じられない想いで戻りました。同じ道を戻ることほど空しいことはありません。ドストエフスキーが「死の家の記録」で囚人をまいらせるには無意味なことを続けさせることだと述べています。例えば、煉瓦を右から左に移させて、次の日にはそれをまた右に移させるという仕事です。人間は無意味な仕事をすることができないようになっているようです。同じ道を再び走りながら、これからはカメラとかではなく、一番大事なものを最初にカバンに入れるようにしようと心に誓いました。

本当は市内観光もしたかったのですが、約1万人(先日のTwickenham Stadiumの8万人とは比べものになりませんが)収容のスタジアムということで駐車場はかなり一杯になっているようで、あきらめてPark & Rideで市内から少し離れたところに車を駐め、バスでスタジアムに向かうことにしました。

昼食をとったスタジアム近くのパブは半分が日本人、スタジアムで隣に座った日本人女性に聞いたところロンドンから電車で2時間で来られるそうで、恐らくほとんどの日本人はロンドンから来ていたようです(グロースター在住の方もいらっしゃったようですが)。

試合は前半がロシアリードでしたが、後半テンポを上げた日本チームが見事逆転して「32-27」で日本チームの勝利となりました。いい試合だったと思います。ただ、気になることがありました。ひとつは観客のマナーの悪さです。恐らくイギリス人、地元の方々だと思いますが、試合中に大声で話をしてうるさい、ビールを度々買いに行くのでそのたびに途中の通路の人達が経たなくてはならない、あげくのはてに同時に行われていたイングランドーオーストラリアの試合をスマホで見始めるなどなど。ひとことで言うとリスペクトが足りない。ラグビーの聖地と言われたTwickenham とは観客の態度が全然異なります。これは日本チームだったからそう思ったのではなく試合自体を馬鹿にしているような態度が気になったのだと思います。

とはいえ、スタジアム全体の70%くらいは日本の応援で、スタジアムのスタッフもフレンドリーで写真を撮ってやろうかといいながらカメラを持ち去ろうとするジョークなど茶目っ気たっぷりでいい土曜日を過ごさせて頂いたと思います。
日没はほぼ4時前。帰路についたのは4時半くらいですが、ほぼ10時くらいの暗さです。行きと一転、何と運転のしにくいことか。道路に街灯が全くと言っていいくらいありません。暗闇の中を自分のライトをたよりに80キロくらいで走らなければなりません。他の車は100キロくらいで(70マイル以上)走っていたと思います。

イギリス人はこの暗さが気にならないのかと思っていたのですが、ハタと気づきました。眼球の虹彩の色が違う。虹彩が黒の場合には明るさが気になりませんが、欧米人のように青の場合にはまぶしくしてしかたがありません。事実、私の子ども達がカナダの小学校に通っていた頃、外で遊ぶ際にはサングラスをかけましょう、と先生が指導されていました。逆に青の虹彩は暗さに強い。私が真っ暗と思った道も彼らには煌々と明るく見えていたのではないでしょうか。

これについての解決策は今のところありません。もう少し矯正視力の強い眼鏡をかけることくらいでしょうか。

(2018.11.25)

★今回の教訓:ジャパンの勝利は喜ばしい。でも気のせいかフルメンバーではなかったような。いずにせよジャパンが勝ってスタジアムを後にするのは気持ちがいいもの。ところで大きな日の丸を振って応援していた日本人が何名かいたけれど、外国では日章旗ではなくてジャパンの旗くらいの呼称にすると信条にピッタリあうのかも。

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