オックスフォード通信(220)Trade off

経済学部のセミナーに参加してきました

物事には両面あるもので、例えば品物を購入する際にその製品の全体像(Object)を知る方がいいのか、それともその特徴(Attribution)を知る方がいいのか。もちろん、両方知ればいいのですが、時間的制約が有る場合には、どちらかを取ればどちらかを犠牲にしなければなりません。これを一般的に Trade Off(トレードオフの関係)と言っています。

これについて経済的な観点からの確率論のお話でした。全体像は物事の広がり(breadth)であり、特徴はその深層情報(depth)ということができます。久々にお目にかかる、例えば積分インテグラル(∫)の式など後半は数式のオンパレードで経済ではこのような数式やtheorem(定理)を使って、トレードオフの関係にあるとき、どちらを取るべきかを確率で示すところが興味深かったです。

プレゼンテーションが終わったときはすべての終了時ということで、プレゼンテーションの間に多くの確認の質問が飛び交っていました。文系というよりは理系に近い雰囲気です。またこのセミナーは午後1時スタートだったのですが、なかなか美味しいサンドイッチとコーヒーが無料で提供されていました。

気づくのが遅いと言われそうですが、イギリスのランチタイムは午後12時ではなくて午後1時から2時の間のようです。事務職員の方がランチに出かけるのも午後1時からということが多く、それまでは気のせいかと思っていたのですが、オックスフォードだけかもしれないのですが1時間ずれているようです。

さてこのトレードオフは私の研究する学習者方略においても重要な位置を占める概念です。例えばリスニングでも細かく聞いていると次の話を聞くことが出来ずどこかで見切りを付ける決断=選択をしなければなりません。この、今分からない話を考えるか次の話のために断念するかというのもトレードオフの関係にあります。

私達は日常生活においては経験則でトレードオフに対応してきましたが、本日のセミナーの結論で示されたように、サンプルが少ない場合でxxの状況においてはこちら、サンプル数が多い場合にはこちらと数式で確率が提示されるのは新鮮でした。AIならこのような確率で判断をしてゆくのだと思います。私達も経験則だけでなくこのような確率で判断してもいいのかもしれません。

考えてみると、判断とか決断というのは、ひとつを選択して他のものを切り捨てるトレードオフをしているのだと思います。この点についてはもう少し考えてみたいと思います。

PS. 夕食にオックスフォードのウエストゲートにあるベトナム料理店Phoに行ってきました。Phoは日本のきしめんをラーメン風にしたようで美味しかったです。さすがお米で作った麺は美味です。

(2018.11.2)

★今回の教訓:トレードオフは日本語では「あちら立てれば、こちらが立たぬ」とか二律背反と言われる。

本日は英語英文学科のシェークスピアプロダクションの公演日。Break a leg!

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