オックスフォード通信(208)Bath

お風呂の語源となったBathに行ってきました

前々から行ってみたいと思っていたのですが、天気も良かったので車を運転して日帰りで往復してきました。時間としては片道2時間弱というところです。行きは亀岡のような深い霧が途中まで覆っていましたが (A34〜A420まで)、M4に入った辺りで快晴になってきました。イギリスはトンネルがない上に(一度も経験をしていません)道が真っ直ぐで、しかもほとんどがラウンドアバウト(ロータリー)なので信号が少なく(ラウンドアバウトの前によくあります)運転が比較的楽です(オートマチックの場合、これがミッション車になると全く別の話になります)。

さて、Bathはローマがイギリスを支配していた時代の歴史的な街だけに市内はほとんど車が立ち入ることができないため(歩行者天国又は道は一方通行が多い)Park & Ride を利用しました。街から10分くらいの無料駐車場に車を駐め、バスで移動です(往復 £3と安めの設定です)。

Bathは丁度谷底に降りていくように山の手から一本道の下り坂の底に街があります。天気が良かったせいか、まわりの山々も緑と所々の紅葉が太陽に映えます。街は観光客というよりは近郊の人達が買い物などにやって来ているのか大変な人出でした。

街のシンボルのRoman Bathに行かなくてはとまず、古代ローマ浴場に足を運んだのですが、教会前の建物の前には入場券を求めるかなり長い列(queue)が。ここは、映画「テルマエロマエ」をイメージさせるような大きな浴場(プール)があります。高めの入場券( £16.50 = 約2000円)を買って中へ。簡単にいうと写真のような浴場(本当に今も温泉が湧いている)があるのですが、ここではもちろん入浴することはできず、見るだけです。この浴場を見るだけでは「なーんだ」ということになるし、入場料が高いということになるので、さすがユネスコ世界遺産に指定されているだけあって、ここ自体が美術館になっていて、古代ローマ時代のBathがどのような様子だったのか、発掘された遺跡からの出土品をもとに再現されています。

論文でいうとこの出土品の展示と音声ガイド(無料というか入場券に込み)による説明が第1章〜4章くらいの前置きです。この音声ガイドはよくできていてじっくりと展示を見さされます。本当は早く下の温泉のプールの所へ降りていってお湯に触りたい!と思うのですがなかなかそこへ行かせてくれません。論文でも最初から5章のディスカッションと6章の結論を見せるとだれも最初の章を読んでくれないのと同じです。

このプレゼンテーションの方法はなかなか狡猾にいや巧妙に、いや秀逸に構成されていると感心しました。散々ローマ時代の話(例えば、誰かが何かを盗んだことを神様に言いつけする金属片の展示)を見、聞き、そのムードになったところでお目当ての1階の温泉プールに到着となります。

温泉プール自体は手を触れてはいけないことになっていたので触ることのできるところで実際にお湯に手を触れることになります。

いい湯加減です。

これは是非ともお風呂に入りたいところです。古代ローマ支配の時代から現在まで脈々と温泉が湧き続けているのにはロマンを感じます。

実際のテルマエロマエ浴場はこのThe Roma Bathから100mくらいのところにあって、スパに入れるようになっています。様子だけ見に行ったのですが、大人気で60分待ちということでした。

河もきれいで歴史が現在にそのまま息づいているいい待ちだと思いました。予想以上に素晴らしい場所でした。オックスフォードよりも歴史が感じられる街といってもいいでしょう。イギリスに来るなら是非ともとお薦めしたい街です。

それにしても、日本人的には真ん中のいい湯が張ってあるプール状の温泉を見るだけではもったいないなあと思いました。せめて温泉卵でも作って売ったらと、次に行く機会があれば提案してみたいと思います。

(2018.10.21)

★今回の教訓:たかがお風呂と思ったら甘い。これだけで論文が1本書けそう。ローマ支配の古代イギリスと現在の日本の風呂文化の関係性について、などど。

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