オックスフォード通信(125)卒業式と卒業生

金曜日、そして土曜日はオックスフォードのどこかのカレッジの卒業式だったようで黒のガウンに帽子のいでたちの(おそらく)学部卒業生を数多く街の中で見かけました。

卒業式は日本でも特別の感慨があるものですが、ことそれがオックスフォード大学になると格別のようです。卒業生の顔は誇りと喜びで満ち溢れ、それを取り巻く家族(両親に加え祖父母も一緒のケースが多いようです)もまた息子や娘を誇りに思う気持ちで満ち溢れているように見えました。ガウンを着たままの姿で市内のデパートに買い物に来ている姿にも出会いました。

オックスフォード・ケンブリッジ大学に入学するのは難関を極めるらしく(さすが世界一、二を争うだけあります)、GCSEなどの日本の大学センター入試に当たるものはあるものの、日本の一発勝負の大学入試と異なり高校の内申点が大きくものをいうために、勉強ができるだけでは入学するのが難しいようです。つまり、品行方正で人格に優れ人柄もいい人が求められるということだと思います(例えば、日本の多くの私立大学で行われている一般入試では内申点も高校から報告されていますが、仮に最低の内申総合評価でも入学試験の点数を覆すことはできないのが実情です。もっとも最近報道のあったようにM部科学省の高級官僚の子弟であれば別かもしれませんが)。

また大学院ではIELTSの点数は80-90%くらいの水準(TOEFLでいうところの100/120点)が最低点数であるのに対し、学部ではほぼ100%でないと基準に達しないため、外国人が学部に入学するのは極めて難しいと、オックスフォード大学の日本語教師をしているN先生にお聞きしたことがあります。

ところで、オックスフォード・ケンブリッジ大学が他のイギリスの大学と異なるところがあります。それは授業回数が短いだけでなく(通信60号参照)、就業年数が4年ではなく3年であること、また学部の卒業なのに大学の卒業と同時に修士号(Master)の学位がもらえるという特権的な待遇です。これには少しびっくりしました。そんなに勉強をしている大学生を見ての感想なので実際にどれほど優秀かどうかは同じ授業に出て見ないと分からないですね)。

洋の東西を問わず、卒業式はいいもので同志社女子大学の卒業式を思い浮かべながら、入学も大変、卒業試験も大変な(試験は Trinity Term の5−6月に実施されるようで、1年生は薄いカーネーション、卒業年次生は真っ赤なカーネーションを胸ポケットに差して試験に臨んでいました)彼ら・彼女らを祝福する気持ちに満ちあふれる思いでした。

そのようなことを考えていたら、日本でゼミの同窓会をしている皆さんからLINE VIDEO通信が入りました。2年前の卒業ゼミでその日に同窓会をする計画だったところ台風で開催できなくなり、集まったメンバーで近くにすむMさんのアパートでたこ焼きパーティーをしているとのことでした。ゼミもそうですが最近ではインターネット・ビデオ通信が簡単に使えるのでこのようなこともできるのですね。ゼミの担当者も忘れずに連絡していただいたことに感謝するとともに卒業後もゼミの人間関係が豊かに発展していることをうれしく思いました。やはりゼミはいいものだと思います。もちろん、卒業式も。人のご縁やつながりは大切にしたいものですね。

(2018.7.30)

★今回の教訓:卒業までの教育が大学の使命、しかし卒業後も学んだことを生かしたり、大学時代の友人を大切に思う気持ちも持てるようにすることも同じくらい重要。

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