オックスフォード通信(123)OUP

オックスフォードにはかの有名なOxford University Press (OUP) があります。

本社は昔、現在のボードリアン図書館の前にあったそうですが、現在は Jericho と言われる大学の東側に移っています。まあ、そこは本社という事なのですが、その直営店(=書店)がオックスフォードのハイストリート(イギリスのどの街にもある通りで、通常メインストリートになっている。オックスフォードの場合にはコーンマーケットの方が賑わっている)にあります。

日本なら即日(大学の研究室のある京都市内なら)や翌日(自宅のある亀岡市内)に配達ということもありアマゾンで注文する事が多いのですが、イギリスのAmazon(こちらでもプライム会員になっています)は翌日配達が稀でほぼ2−3日以内の配達という状況です。すると急に、アマゾンで注文する魅力が失せる感じもあり、今住んでいるフラット(Summer Townです)からCirty Centre(イギリスではダウンタウンよりもこちらの言い方)まで自転車で(!)10分程度なので、本が欲しくなったら買いに出かけるようにしています。

もちろん四条河原町四条烏丸まで出かけると丸善ジュンク堂があるのですが、同じ大学街でも徐々に本屋さんが無くなっている京都はとは少し状況が違うように思います。ただ、オックスフォードでも以前はもっと本屋が多かったという声も聞きますし、私がこちらに来てからでもサマータウンの唯一の30年以上続いた本屋さんが閉店しましたので、実は本屋さんへの逆風は日本もイギリスも同じなのかもしれません。

オックスフォードの中心部にある本屋さんとしては、ギネスブックに世界最大の本屋さんとして登録されているブラックウエル(Blackwell's Bookshop)とウオーターストーン (Waterstones)が代表格です。

しかし、語学や応用言語学の多くの専門書を出版している OUP の本が欲しくなったら直営店に行けるという贅沢さがオックスフォードにはあります。

実は、図書館で本を閲覧・借り出ししたり、PDFで論文を読む事が多かったのでそれほど多くの本をこちらでは購入していないのですが、先日 Waterstones で購入した英語の文法の本が面白かったので、その類書をOUPの直営店に探しに行ってみました。

さすが。欲しいなあ、と思っていたOUPの本は全てあって、ついでにその横に置いてあった David Crystal の本まで購入する事ができました。このあたりが、アマゾンとの違いですね。その本を実際に手に取り、またその周りに置いてある本も手に取ってみたり(更にその近くにおいてあったOUPのペンとかトートバッグなどの誘惑に負けそうになりました)、また同じ書棚を見ている他の客が手に取っている本も参考にすることができます。そこから得られるインスピレーションはすごいとはいいませんが、いい刺激になります。

綾部市という京都北部の小さな街に生まれ育ち、小学5年生くらいの頃に近くにお住まいだった日野先生に英語の手ほどきをしていただいてからどれほどの年月が経ったか分かりませんが(実は分かります)、世界最高峰のオックスフォード・ユニバーシティ・プレスで本を買うことができたことに変な感慨と感動を覚えていました。小さな夢が叶ったように思います。まあ、本を買うなら誰でもできることなんでしょうが。

ところで、昨日はほぼ10年前に同志社大学での授業の受講生だったTさんが会いに来てくださいました(オックスフォードのパブでお会いしました)。また本日は数年前の京都大学での授業の受講生だったDさんからこのブログを見つけてメールを送ってくださいました。このように授業が終わった後も覚えて連絡をしてくださることに感謝の気持ちで一杯です。教師を志望する人に、教員のいい所は授業が終わった後にもその人間関係が持続することがあること、と言っていますが、まさにその通りのことを実感しています。

幸せな気持ちにつつまれた土曜日になりました。

(2018.7.28)

★今回の教訓:本を購入するだけでなく、いつかOUPから自著を出版することを次の夢に。

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