オックスフォード通信(113)Oxford University が世界一の秘密(8)気候・蚊・セミ

涼しいです。

こういうと反感を買うので書くのをやめようかと思ったのですが、きっともうすぐ(皆さんが口を揃えてアドバイスされるように)暗くじめじめした冬がやってくる(はずな)ので、現時点で思っていることを書いておこうと思います。

と言っても、イギリスは過去にないくらいの猛暑と言われ、この1カ月くらいシャワーも含め殆どの雨が降っていません(通信23, 96も参照)。皆さん、暑いと言っておられるのですが、日本人的感覚でいうと5月くらいの爽やかな天気です。何しろ、エアコンがなくてもやっていけます。もっとも、先週訪問したスコットランドのように、夏でも全く暑くなく、むしろ寒さ対策を前提に作ってあるホテルなどでは窓が10度くらいしか傾いて開かない仕組みになっているので夜は暑く感じるかもしれません(その証拠に大型扇風機がおいてありました)。

まず朝晩、ぐっと気温が下がり10℃台に下がります。私のフラットは3階にありますが、窓を全開で開けておくと夕方5時以降には爽やかな風が通ります。夜は窓を閉めて寝ないと寒いくらいです(申し訳ありません)。ですから夜暑くて寝れないという事がありません。このような快適な生活はアカデミックライフにプラスにならない訳がありません。

また以前にも書いたのですが(通信71)虫がいません。と言ってもさすがに最近は、ハエ(a fly)が窓を開けておくと時々入ってきますが、それでも数がしれています。しかも蚊 (a mosquito) をイギリスに来てからまだ一度も見た事がありません。そして、夏の風物詩の蝉の鳴き声がないのです。約20年前、カナダのトロントに住んでいた頃はそんな風に感じませんでしたので(忘れただけかもしれません)、蝉がいないのはヨーロッパ、イギリスだけかもしれません。

皆さん、想像して見てください、朝夕が涼しく、蚊も蝉もいない夏(返ってさびしい?)。確かに日中は30℃近く(と言っても30℃を超えても32℃くらい)、このような夏だと仕事が進まないわけはありません。日本ならまず日中はエアコンをガンガンにかけて、それでも暑いのでタオルで汗をぬぐいながらという感じですから、そのような中で論文を読んだり、書いたり、授業をしたりするというのは、現在の状況から考えるとミラクルとしか言えません。

気候が人々の生活だけでなく、思考に与える影響は大きいと思います。いわば、イギリス人約6000万人が全員、軽井沢で生活しているようなものです。

正直、ずるい、と思います。

もちろん、蒸し暑い日本の夏があるので、秋の感動があるわけで、また夏ならではの日本の美味しい料理もあるわけで、日本の夏、全てがダメというわけではありませんが。

(2018.7.18)

★今回の教訓:気候を含めた風土がアカデミックライフに与える影響は大きい。逆に考えると日本に居住するイギリス人はよく日本の過酷な夏に耐えている、ということになる。M先生やD先生が夏休みにイギリスに帰りたくなる気持ちがよくわかる。私も正直なところ夏はこれからもずっとイギリスがいい(到底無理ですが)。

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