オックスフォード通信(109)スコットランド紀行(4)スカイ島

スカイ島の夜は11時前頃まで明るい。

オックスフォードよりもかなり緯度が高くなるせいか、夏は日没が遅く日の出も早くなります(日没は天気予報ではずっと早い時間なのですが、薄借りがしてなかなか暗くなりません)。

スカイ島は英語では The Isle of Skye と表記します (isleとはもちろんislandの意味)。私は鳥が翼を広げているような島の形からその名がついたと思っていたのですが、もともとは雲(cloud)の島という意味のようです。

昨日泊まったホテル(Portree) はサービス満点でチェックインの時にはスコッチウイスキーはどうかとすすめてくれ(もちろん頂きました)、スコットランド伝統の甘いお菓子まで頂きました。日本風に言うならペンションのような感じです。ただディナーは(予約しました)シーフードをいっぱい食べるぞと意気込んでいたのですが、海老料理で出てきたのは本当に小さな小エビ×4匹で(道理でお皿が小さいとウエイトレスの女性が言っていた)かなりがっかりしました。

しかし朝ご飯は(付きです)、いつものEnglish Breakfast で本当はメニューから自分の必要なものを選ぶのですが、つい、Everythingといって超フルの朝ご飯となってしましました(これで晩ご飯と帳消し?)。でも気持ちのいいホテルで、フロントのホテルマンはドライブのコースについても適切なアドバイスをしてくれた上に、分かんなかったら途中から電話してくれたらいいと本気で言っているようでした。

北部を一周しました。彼のアドバイス通りです。

まずレンタカーで向かったのが、Old Man of Storr という山です。車が沢山止まっているのでちょっと見に行くつもりが(最初はそこが目的地のKilt Rockだと思っていました)そこが北ルート最大のアクティビティーの場であることが後から分かってきました。そうなんです、単なるView Pointで景色を楽しむ場所ではなくて、そこに登るところだったのです。道理でみなさん、来る人来る人、靴はキャラバンや登山靴、リュック+水、帽子、ウオーキングポールと本格的な登山の格好ばかり。私はスニーカーにTシャツのみ(水なし、リュックなし、カメラあり)。止めようかと思ったのですが、中にはクロックスをはいたおじさんもいたりしたので変な自信もついてそのまま登ることにしました。といっても途中4箇所くらい景色のいいところがあるので、どこで止めてもいいような緩やかな登山という感じした。そのせいか、中高年のみなさんのみならず、こども、犬(多かったです)、中には生後何週間?と聞きたくなるような赤ちゃんを抱っこした(しかも背中におんぶするのではなくて前に抱っこしたまま、これは危ない)男性など多民族・多年齢・多人種・多動物が思い思いに上を目指していました。

本当に3/4くらいのところで止めようと思ったのですが(さすがに上の方は風が強く、汗に濡れたTシャツでは寒かったのと発汗で喉が渇き、足下が滑りやすくなっていたため。これだけ書いたら普通は止めます)、なんとなく行けそうな(本当の登山ではいけませんね。このような時には引き返す勇気の方が大切です)気がして、結局多くの人が目指した頂上まで無事たどり着くことができました(恐らく私のような装備なしで登っていたのは数少なかったと思います)。

でも頂上からの眺めは格別のものがありました。見えなかったものが見えるのですね。頂上からは。遠くの運河、湖、連なる山々。幸い天気も良かったので全てが輝いて見えました。

頂上に登ったという達成感もあるのですが、少し面白いことに気が向きました。それは日の当たることの重要性です。頂上から見ていると、仮にそれほどの(?)景色でなくても陽のあたっているところはとても美しく輝いて見えます。影になっているところはそれ自体よく見えません。当たり前のことですが、片道1時間くらいかけて登りましたので考え方が哲学的になっています。

しかし、また1時間かけて下山した後にもその考えは頭の片隅に残っていました。私たちの研究や仕事も同じではないかと。それは陽の当たる仕事や部署が重要なのではなくて、その人が輝いて仕事をすることが重要なのではないかと。つまり、実際に仕事をする人が、その仕事に意義ややりがいを見つけて取り組めば、そこには自然と陽が当たり輝くのではないか、と。そう思えば、誰もが輝く機会があるのではないでしょうか。太陽が雲に光を遮られながらその都度違う場所に光が当たっていました。すると影が日向になりスコットランドの緑に映えてとても美しく見えました。

その後、本当の Kilt Rock を回ったり(水量が少ないせいか、滝ではなくて水しぶき程度になってしまっていました)、おじさんに、動物ではなく人だけが通れる門のことを Kissing Gate というと教えてもらったり(顔の表情付き)、のんびりとした時間を過ごさせて頂きました。

スカイ島 (Isle of Skye)は昨日渡ったようにフェリーも利用できるのですが、スコットランド本土と結ばれている橋を通って、初日に通ったネス湖まで車で戻ってきました。

明日は、ネス湖周辺を散策する予定です(ネッシーランドと称する怪しい展示館も目にしています)

(2018.7.14)

★今回の教訓:ではどうやって自分で自分の仕事に陽を当てるか。案外、どの仕事にも面白いことと面白くないことが含まれていて、どちらに目を向けるかだけの違いかもしれない。

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