オックスフォード通信(102)喫茶店のオキテ破り

少し気まずい思いをしました

私が現在住むサマータウンにはCostaというイギリスのチェーン店のコーヒーショップがあります。このCostaはロンドンをはじめOxfordでも所々にあるイギリス人お気に入りの喫茶店です。スターバックスもありますが(サマータウンのスタバについてはいつか書きたいと思います)ブリティッシュには遥かにこのコスタの方が人気があります。

奥の方にはコンセントが近い席もあり、ラップトップで仕事をしている人も多くいます。席のタイプも木のチェアから今私が座っているゆったりとしたソファまで様々です。

問題はどの時点で自分が座る席を決めるかということです:①入店したら注文の前に自分の席を確保してからカウンターに注文に向かう、②注文して列に並んでいる間にパッと席を取って列に戻る、③注文を済ませて飲み物が出来上がるまでの間を利用して席を確保する、④飲み物を受け取って初めて席を探す。

さてみなさんは①〜④のどれでしょうか。

私は日本では①、イギリスでは③と決めていたのですが、本日は結構お店が混んでいて列に並んでいる間に「うん、これはひょっとしたら座る席がないのでは?」と思ってしまったのです。そこで、②で列の近くのいい感じのソファに荷物をおいて席取りをしました。

ブリティッシュは圧倒的に④です。私の前の小学生くらいの男の子とお母さんがさあ座ろうとした時に私が危惧した通り咳がなかったのですね。仕方ないので2つのテーブルのところを1つ分けてもらって相席のような形で座っていました。席を探す時に私が荷物を置いているのを見て、あら、という感じで仕方ないわね、みたいな感じだったのですが、心が痛みました。

たかがコーヒーショップの席ですがここにはカルチャーが表れていると思います。文化とは、みなさんもご存知のように「すなわち何が良くて何が良くないかという価値判断、道徳判断の基準」でそれをもとに行動がなされます。同じ文化圏の人達はその「判断基準」を共有していますので行動も似通ったものになります。

イギリスには ”First come, First served” (早い者勝ち)の基準があるのだと思います。ただその早いものの「判断基準」が先に店に入店した順ではなくて、飲み物を手にした順なのだと思います。イギリス人で私のような②や③の行動をしているのは高校生か外国人だけのように思います。
別に悪いことをしたわけでも無いのですが、どこにも書かれていないけれどイギリス人なら皆が知っている不文律を破ったようで気まずい思いをしました。

文化の大きな問題(挨拶の仕方、食事の仕方、お風呂の使い方など)はガイドブックに書いてあって知っているのですが、このような細かいけれど結構大事な問題はその場にいないと分からないものです。
文化の問題は多岐にわたり、目に見えないだけに理解するのに時間がかかります。

(2018.7.7)

★今回の教訓: カルチャーで次に問題になるのが携帯の使い方。いつ、どこで携帯を使っていいかよくないか。文化とは言いかえると皆がハッピーに生きるためのソフトウエアなのだろう。

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