オックスフォード通信(58)日本専攻大学院生のプレゼンテーション

オックスフォード大学で日本の教育・文化・文学についての大学院生の発表を聞かせていただきました。

先日、ある会合でお会いしたN先生からお誘い頂き、オックスフォード大学大学院修士課程中間発表会に出席させて頂きました(都合により午前中のみ)。福島の原発、日本のインクルーシブ教育制度定時制高校、武道必修化、短期大学の役割とどれも興味深い内容でした。10分の発表、10分の質疑応答という内容でしたが、私達が英語で発表するのに同様に緊張感と高揚感が感じられる素晴らしいプレゼンテーションが繰り広げられていました。特にトピックの選択が興味深かったです。

私の横に座っているRさんが次、Oさんが次の次という順番でした。お二人ともALTとして日本で働いた経験をお持ちで日本通という感じもしましたが、やはり母語ではない日本語で発表されるということで、チラッと見ると(見えました)セリフが事細かく書いてありました(おはようございます、よい質問をありがとうございましたなど)。それを見ているだけで何か変な言い方ですが嬉しくなってきました。ああ、誰しも一緒なんだなと。誰もが第二・第三言語で発表するときには内容よりもそのデリバリーの方法で苦労する。私達日本人も、We are not alone! と思う必要があります。

また、日本語でだと、トピックが何であれ自由に質問できるのも事実です。これは英語のネイティブ・スピーカーが英語でいろいろと質問しますが、それは必ずしもその人達のインテレクチュアルレベルが高いのではなく、母語であれば余裕があるからできるだけなのだと思います。その点を私達ははき違えてはいけないと思います。

English as a global lingua franca、グローバルリンガフランカとして英語を考える際に、案外日本語非母語話者が日本語でプレゼンテーションする姿を見る機会を作ることは重要かもしれません。そのことが、英語でプレゼンテーションしたり、英語を話すことのプラスにつながるのかもしれません。

休憩時間には St. Antony’s college のM先生といろいろと話をすることができたのも収穫です。M先生は何と同志社大学客員教授として2000年から6年間も教えておられたとのこと。久しぶりに同志社や京都のことについてお話ができました。外国でこのような話ができるとは思ってもいませんでした。まさに、It is a small world です。この会のご招待頂いたN先生、またこのような交流の広がりに感謝するばかりです。

(2018.5.24)

★今回の教訓:日本人が英語を、だけでなく外国人が日本語を使っている場面を見ることはいいメタ認知になる。ALTもそのような機会を中学や高校で作ってみればいいかもしれない。

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