オックスフォード通信(57)Gender Influence

先日のセミナーはGCSEという日本でいうところの大学センター試験、正確には高校卒業時学力試験についての研究発表でした。

40 million というと4000万人のデータですので過去何年か分の全イギリスの高校生のデータ分析という膨大なプロジェクトです。Ofqual (The Office of Qualifications and Examinations Regulation) ですからセンター自体がプロジェクトの主体なのでこれだけのデータにアクセスできることには納得できます。

英語(国語ですね)、数学、理科について、modular方式(各単元終了毎に行う)とlinear方式(各コース終了時に実施)ではどちらの点数が良いかというのが発表の趣旨だったのですが、それ以上に興味深かったのがジェンダーディファレンス、すなわち男女差です。

日本ではなかなかこの男女差のデータ自体がいろいろな波紋を投げかけるという意味合いで公表されませんが、この研究発表では堂々と分析結果を公表しておられました。

一般的に、女性は言語能力に優れ、男性は数理解析能力に優れていると言われています。また、話を聞かない男、地図の読めない女、とその違いを極論する向きもあります(注:私は地図の読めない男です)。このGCSEの結果はどちらのパターンにおいても、女子が男子よりも英語と理科に優れ、男子が数学に優れているという結果でした。理科は当てはまっていない部分があるかもしれませんが、英語と数学では予測通りの結果です。

よく文化的背景が影響するとも言われますが、日本とイギリスと文化背景の異なる状況でも同様の結果が生まれるのは興味深いところです。

私は学習スタイルとして外向性と内向性に着目して研究を進めていますが、このジェンダーディファレンスも同様に興味深い点です。共通するのは後天的に変更することが基本的にできないところです(最近はtransgenderという言葉もありますが)。

変更することができないのであれば、それぞれに合った教え方・学び方があるはずだ(Best-fit teaching, learning strategies)というのが私の予見するゴールです。

いいお話を聞いたと思います。

(2018.5.23)

★今回の教訓:誰もが持つ個性。その個性の正体を学習スタイルとかジェンダーという観点から検討してみると面白いものが見えてくる。私のオックスフォードの滞在も1/6が終了。Accelerate したい。

© Wakazemi 1-20