オックスフォード通信(34)Oxford University が世界一の秘密(4)鎖のついた本

オックスフォード大学メインのボードリアン図書館に観光で行ってきました(2週間前にはOxford大学メンバーとして中に入ったのですが[通信20参照]、本日、調子よく2名のゲストと一緒に入ろうとしたら図書館は特別許可がないとダメとのこと)。おとなしく観光ツアー(30分、£6)に参加してきました(大行列、非効率的な受付[最近これは参観者を調整するためにわざとゆっくりやっているのかと疑うようになってきました)。コンピュータの学習の場合もそうですが自己流だけでなく、人に教わるのはとても大事なことですね。

入り口で荷物を預けさせられ、カメラは絶対にダメだと念を押され(残念)、ガイドの女性(イタリアアクセントがあるがクリアに英語を話しておられました)に連れられ最上階のDuke Humfrey’s Library(ハンフリー公爵図書室)へ。ここはハリーポッターの映画のロケにも使われた有名な場所。特に驚いたのは、当時は(1400年頃)本が大変貴重で盗まれたりしないように本にはすべて鎖がついていて持ち出しができないようになっていたことです(本の背 [spine of the book] や本の横に鎖をつけそのため本は背と反対側が見えるように展示され、どの本か分からず番号が付けられ、本の題名と番号との対応表が作ってあったそうです)。また貸し出しではなくその場で見るReferential Libaryであったこと。逸話として国王が本を貸して欲しいといったときにもこの図書館に来てみるように返答するほどの毅然さがあったとのこと。

イギリス国教会が設立されたときそれまでのローマカトリック教会の書物を全部焼いてしまったり、聖学(Theology)が当時最高の学問であったことや試験を口頭試験で行っていたこと、など参考になるというよりも刺激になることが多くありました。

オックスフォードの街を歩いていると、Blackwell’s やOxford University Pressなどをはじめ多くの本屋さんが健在です。電子データも重要ですが、本を執筆した人に対する敬意、また本を出版する過程や出版社を大切にしていることがよく伝わってきました。言い方を変えると、文字、言葉に対する敬意なのでしょう。学問の根底には言葉がその大切な言葉を伝える手段として本を重要視してきたことがこのオックスフォード大学を世界一の大学に押し上げてきたのかもしれません。大学として出版を大切にしているからこそ大学が世界的に評価されるのだろうと思います。

もういちど、本の価値、言葉の重要性を考えてみたいと思いました。(2018.4.30)

★今回の教訓:聖書は始めに言葉があったといった。言葉を大切にすることは言葉が表す概念、それに関わる人達、その文化を大切にすることと同じであろう。言葉ひとつひとつをかみしめる、吟味するということは普段なかなか出来ないことであるが、メタ認知を働かせてキーワードについては吟味することが重要である。

© Wakazemi 1-20