オックスフォード通信(32)Oxford University が世界一の秘密(3)言葉の豊かさ

金曜日の夕方は各カレッジ、研究所で(オープン)セミナーが開催されています。ただキャンセルも結構あるみたいで、教育学部セミナーに行ってみたのですが昼のインフォーマルセミナーは分かりにくい場所を探し当てて行ってみたのですが電気が消えていて人影もなし。夕方のセミナーはではギリギリではなくて少し前に行こうと思っていってみたのですがこちらも電気が消えていて人影なし(のはずです。すいません、今再確認したら日を間違えていました)。もったいないのでPlan Bで考えていた日本研究所のセミナーに行ってきました(Plan Bを考えておいて良かった)。
5分遅れで到着したのですが会場は超満員。オックスフォードに来てはじめてこれだけの人を見ました。ヨーロッパ研究所主催で大学へ押し寄せる反リベラリズムにどう対応するかというトピックでした。縁者は、Michael Ignatieff(彼の英語が分かりやすいとおもったのですが、後から調べてみるとトロント出身のカナダ人でした、やっぱり)。話し方といい内容といい、参考になるところが大でした。最初はやはりちょっとジョークで、最初はみんな来ているかい(Anybody show up?)と言うんだけれどこんな雨の日には特にそうだといいながら50分間、ハンガリー(彼がrector=総長を務めるCentral European Universityがブダペストにあるそうです)の反動的な社会状況から大学はどう対応(考える)べきか論じていました。その中でも強調されていたのが、社会に自由がなければ大学にも自由がないこと(Without freedom in society, there is no freedom in universities)、だからこそ社会の中で自由を抑圧する動きにはたこつぼに入ってないで大学人もそれに反対するべきだとする社会との連帯 (solidarity)です。

中でも大学には長い歴史がある、長い歴史があるということは長い記憶があることだ(Long history has long memories)という言葉にはハッとさせられました。私が勤務する大学も150年弱の歴史があります。資料室もあり活発な資料室の活動には敬意を払いながらもなかなかそれを日々の研究活動に生かし切れていませんでした。もちろん長い歴史には苦難の又は失敗の記憶もあります。少し言葉をこのように、歴史→記憶と置き換えるだけでグンとイメージが豊かになるのが不思議です。

いい話をお聞きしたと思います。(2018.4.28)

★今回の教訓:言葉の力は大きい。豊かな語彙は考えを生活を豊かにしてくれる。

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